同世代の人達と比べて、発達や成長が遅く感じる…。それは、その人の発達の歩みの中に、何らかのやり残しがあると考えられます。受精した瞬間から発達は始まっています。
胎児期から現在まで続いている発達の歩みの中にやり残しがあると、凹凸のある発達過程を歩むことになります。ですから、最初に発達の遅れている部分、発達の抜けている部分を明らかにしていきます。
【確認するところ】
□赤ちゃん時代の反射が残っていないか?
□呼吸や感覚など、土台の部分に発達の遅れがないか?
□きちんと身体が使えているか?育っているか?
□感覚遊び→一人遊び→他者との遊びへと発達しているか?
□どのような絵を描いているか?
□学習できる体勢が整っているか?
週に1回、特別な指導の時間を設けたとしても、そこだけでは発達の遅れ、ヌケを取り戻すことはできません。発達、成長は日々の積み重ねですので、どのような生活を送るかが重要になってきます。たとえ一日5分間でも、毎日コツコツ取り組むことができれば、変わっていきます。
発達の遅れ、ヌケを埋めていくのは、自分自身です。しかし、年齢が低い子どもの場合は、家族の後押し、協力が必要になってきます。ですから、どのような生活を送っているかを確認し、その中で本人も、家族も無理なく、自然な流れの中で行える発達援助を一緒に考え、提案していきます。
ヒトの脳は、『爬虫類の脳→哺乳類の脳→人間の脳』の3層構造になっています。「勉強ができない」「友達と仲良く遊べない」「うまくしゃべることができない」などは、人間らしい問題のように見えます。しかし、発達障害の人達は、脳の表面である人間の脳の部分ではなく、もっと深い部分に問題があり、その上に脳が形成されていったために、発達に凸凹ができてしまうと考えられます。
現在、起きている問題の根本は、原始的な脳の部分とつながっています。ですから、進化の過程、胎児期から乳幼児期の発達過程の辿り直しを行います。爬虫類も、哺乳類も、胎児も、乳幼児も、動きを通して発達していきます。その人が抜かしてきた発達過程を『動き』を通して、育て直します。
子ども時代に思いっきり遊ぶことを通して、身体を育て、動きを育て、脳を育て、コミュニケーション、社会性を育てます。発達の基本は、遊びです。発達に遅れがあったために、同世代の子と同じように、また同世代の子と一緒に思いっきり遊べなかった、ということは多くの方に見られることです。
年齢を重ねてから知識として社会での振る舞い方、他人との接し方を学んだとしても、実際の場面では応用することが難しいといえます。定型発達の人達は、社会の中で生きていくための知識を得る前に、人との距離感、相手の考えを想像する力、やりとりの仕方を身に付けています。これは、子ども時代の遊びを通して、体験的に学んでいるのです。
遊びにも、発達過程があります。その発達過程を一つずつやり切り、クリアしていくことが、社会の中で生きていく力へとつながっていきます。一人ひとりの課題に応じて、身体を育てる遊び、動きを育てる遊び、社会性を育てる遊びを行います。
小学4年生の学力があるかどうかが、将来の自立と大きくかかわっていると言われています。もし小学4年生の学力がなかったとしたら、一人で生活を送ることも、仕事をすることも難しいでしょう。それだけではなく、精神疾患や貧困、犯罪などのリスクが高まるとも言われています。
ですから、小学4年生の学力を身に付けることが、その人の人生において重要な意味を持ちます。知的障害のあるなしに関わらず、小学校の教科学習をきちんと行っていく必要があります。そのためには、まず学習ができる体勢を育てることです。姿勢や手の動き、目の動き、集中力を養い、最終的には自分で学習できることを目指していきます。そして、実際の教科学習を行い、学力を身に付けていきます。
ある一日の発達援助の流れ(小学生) |
15:00 体調の確認、前回と比べての発達の確認 15:10 トレーニング(爬虫類の動き、呼吸を育てる運動) 15:20 遊び(交代のある遊び、両手両足を使う遊び) 15:30 学習(学校の宿題、指の動かし方の練習) 15:50 気持ちと身体を整える体操、次週への課題 16:00 終了(指導のポイント、アセスメント結果の報告) →後日、報告書をお渡しします |
私は、一人ひとりに合った発達援助を考え、その具体的なやり方、発達段階の確認の仕方、アイディアを生みだすコツをご本人、ご家族にすべてお教えいたします。実際に、自分たちで発達の遅れやヌケの育て直しを行っていただき、発達、成長が実感できたなら、「自分たちで育て直しをしよう」という主体性が出てきたのなら、そこで私が提供する発達援助は終了となります。
自分の、または我が子の発達を後押しするのは、自分自身であり、ご家族です。自分たちで主体的に発達援助を行えることが大事なことになります。いつまでも支援者に頼っていては、本当の自立はできません。発達の遅れやヌケが埋まったあとは、学校や地域、社会の中で成長していってもらいたいと考えています!
北海道函館市在住
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